私は專門の硏究者ではなく、論文を他の硏究者に問ふて生活の足しにしてゐないから、著者の、社會科學系の實證硏究をどう計畫しどう論文を書くかと云ふ課題には共感できない。しかし日々に遭遇する事象に疑問を抱き追究する行爲の範型として私にも感ずるものがあった。人に惡い事が起こって對處を話し合ったり良い事が起こって今後に活かす方策を話し合ふ際に、私はまづ事實を列擧して確かめ、その後に原因や策を考へるやう話を進めがちだ。これは、誰も困ってゐない問題に就いて話し合ってゐた事に氣附き幾度も徒勞を感じた經驗によるものだ。この本が示してゐる、What で事實を問ひ、Why で理論を問ひ、What と Why の往還が進んだところに How to で對策を考へ、對策をまた事實と理論で見直すと云ふ手順が、私の話し方の覺え易く實用的な圖式として使へるので、ありがたく memo をとった。
